夢話-夢小説の間-





幕開け?





 逆トリップって言うのはさ、ほら、比較的若い衆がやってきてなんやかんや青春!みたいなのりだとばかり思っていた。
 ああ、思っていたとも。
 誰か、勘違いしていた私を殴ってくれ。いっそラリホーと叫びながら渾身の一撃で眠らせてくれ、永遠に。

「貴様と顔を合わすことになろうとはなぁ、武田信玄」

 剣呑な表情のおじさま一人。

「ふっふっふ、儂もじゃ。奇遇じゃのう、尾張の魔王」

 愉快そうなおじさま一人。

「松永ぁテメエ!なんでここにいやがる!!」

 極道顔のおじ……おにいさんひとり。

「いやはや、変わらず苛烈だな、竜の右目は。今日は独つ眼の竜はお留守番かね」

 皮肉がピタリとお似合いのおじさまひとり。

 ……誰だ。
 一体、誰がチョイスしたんだこの組み合わせはっ!!
 確かに戦国BASARAは好きだ、大好きだ、中毒だ。そこは認めよう!
 だがしかし、何故、何をどう思って……魔王と虎と極道と爆破魔を送り込んできたんだ!?
 ああ、わかったよコンチクショウ、この世にイイ神サマってのはいないんだな。誰がなんと言おうがこれから クリスマスなんか祝ってやるものか!え、今は真夏?知るか!そんなもの知ったことか!!
 っていうかこのカオスな空間は誰が何とかするの!?後ろで古ぼけたうちの鳩時計がパッポー鳴ってるよ、もうどうしたらいいんだい!?

「ところで、卿は何者かね」

 ヒィイッ!指パッチンに話しかけられた!
 え、なに、なに、なんなのその抜き身の刀!貴方様がそれ標準装備なの知ってませけどNPCのくせに!うああ、こっち向けないでくれ、寿命が縮む!

「な、何者と、言われましても、私、この家の者、ですけどっ」

 未だに混乱する頭で何とか言葉をひねり出す。
 一体なんだってこんなことに?
 私、いつも通りに生活しているだけだったんですけど。

「あ、の、あなたがたは?ここで、私の家で、何を?」

 壮大な面子が揃ってこちらを向く。
 この人らは無駄に威圧感がある。逆らったらいけないと言うか、殺されそうだ。
 大人しく、静かに、かつ、低姿勢で刺激しないようにしなければ。

「ほう、そなたがこの屋敷の主か」

 問いに頷いて返す。
 ああ、唯一微笑みをくれる貴方が私の太陽です、癒しです。
 でも、でも質問に答えてくださいお館様。いや、ほんとマジで。

「お前が集めたんじゃねぇのか?」

 小十郎の問いには全力で首を横に振らせていただく。
 誰が恐ろしくてこのメンバーを集めるか!単品ならまだしもフルコースなんて頼んでない!いや、単品すら頼みたくない!
 本気で怯える私を魔王が、信長が鼻で笑う。笑ってくれていいからさっさと帰ってくれないだろうか。

「あぁあのっ、どういったご、ご用件でしょう?」

 声が震えるのは当たり前だ。
 あまりに怖すぎる。ホントにあんまりだ。

「それがのう、気付いたらここにおってな。すまぬが、ここはどこの国だか教えてもらえんか?」
「えと、に、日本、です」

 正直に答えてから、もっとましな答えがあったんではないかと思う。いや、仕方ない、今色々と精一杯なんだ。
 一瞬きょとんとしたおじさまがたは全く可愛くなく、――いや、お館様だけはかわいかったです、はい――すぐさまこの中でも極悪の面構えをした某竜の右目が眉間にしわを寄せた。

「ニホン?聞いたことのない地名だな」

 そりゃそうだろうよ。
 あんたら450年くらい前のしかも異世界の人だもん。
 でもそれを説明するには事情が複雑すぎて私の頭じゃ整理しきれない。
 とりあえず、救急車かパトカーを呼ぶのが一番手っ取り早いと思うんだがどうでしょう?今すぐ110番したい、なぁ、なんて。
 電話まで結構距離があるのが難点で、携帯なんて部屋に置いて来てしまったからこの場になんてない。

「何をしていたと言うわけでもない、が。
 全くの別の世界に迷い込んでしまった、というのが妥当なところではないかね」
「そのようじゃのう」

 全くもってその冷静な脳みそが羨ましい限りですよ、あんたがた!!

「女ぁ」
「はひっ!」

 信長怖い!マジ怖い、魔王!というか声ほんとにそんな声なんですね!さすがベリーメロン!!
 あああ、もう錯乱しすぎてて私の頭の中が大変なことになってる気がするぅうう!

「余をここに置けい」

 …………………ほわっつ?

「ふむ、私も世話になろうか」

 ……はい?

「すまんのう、儂も頼む」

 何が?

「テメエら若ぇ娘に雁首そろえて頼むことか、あぁ!?」
「では卿はどうするというのだね?参考までに聞かせてもらおうではないか」
「ぐっ」

 何がなんだか思考が追いつけていない私と、おっさんたちとが顔に傷がついたとても29には見えないお兄さんを見つめる。
 しばらくして。

「すまねぇ、世話になる」

 頭を下げてこられました。
 あの、いや、私、世話するなんて、

 一 言 も 言 っ て ま せ ん け ど !

 だからって、だからってこの凶悪すぎるメンバーにそんなこと言えるわけもない。
 断ろうものなら切り捨てられる。
 絶対切り捨てられる。
 っていうか、人生がジ・エンド★みたいな!?
 ヤッパリ腹切りですか、首切りの介錯ですかどうなんですかそこんとこぉおお!!

「は、い、あの、狭いですけど、早く戻れたら、いいですね」

 泣きそうになりながら、私は何とかそれだけ言葉を発するのであった。
 頼むから、早く帰ってくれ。




















 オマケ


 何だかんだで一ヶ月。やつらはまだ帰りません。

「おぬしは儂のものよ」
「女、我が傍に居よ」
「卿は私のものだろう?」
「あんたら既婚者でしょうが!?自嘲しろ!してください!今は一夫一妻制ですから、マジでほんとに本気でぇえええ!!片倉さん見てないで助けて!ヘルプ!ヘルプミイー!!」
「南蛮語……くっ政宗様……」

 一ヶ月にて、よからぬ方向にヒートアップ中。






+++あとがき+++
え、続きませんよwww
ちょっと既婚者sに取り合って欲しかったという妄想です♪

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2008.09.07