夢話-夢小説の間-





精神病か、催眠術








「恋とか、愛とか、きっと精神病の一種なんだ。もしくは催眠術だ」

 言ったをその周りはぎょっとして見る。
 往々にしてと言う人物は、まかり間違ってもその口から『恋』だの『愛』だの発するような人間ではない。
 口を開けば男言葉が飛びだし、喧嘩をさせれば男にも負けず……否、完勝し、彼氏にしたいランキングを常に上位キープ、さらにはバレンタインのチョコの数は校内一位と言う噂まである。
 男より漢らしい女としてその名を校内に轟かせている、婆娑羅学園の一女子生徒だ。……女子生徒だ。

「ど、どうした、。変なもんでも食ったか?」

 一番始めに我に帰ったのはのよき喧嘩仲間である元親だった。
 少なからず動揺が見てとれる。
 そんな元親を鼻で笑っては窓の外に目をやった。

「そうでないと説明がつかないと思っただけだ」
「気持ちってのは説明をつけるようなもんでもねぇだろ」
「いや、いるね」

 即答したに周りが顔を見合わせた。
 彼女はムスッとして口を一文字に結んでいる。
 男子生徒に告白されようが、女子生徒に告白されようが、全くもって意に介したことのないにしては珍しすぎる反応だ。

「……明日は雨、か?」
「天気予報では快晴と言っておったぞ、佐助」
「あー、うん、そーね」

 珍しすぎて雨が降ると言いたかった佐助はズレた感想を寄越す幸村にため息一つ。
 さすがに本人を目の前に解説する気はないのか笑ってごまかしていた。

「水臭ぇ、悩んでんなら相談くらい乗るぜ?」

 肘を机につきながら政宗が問う。
 ちらりとは一瞥をくれたのち、やはり窓の外を向いた。

「ふん」

 結局返ってきたのはだんまりと言う反応で、やれやれと全員がそのことを追求するのを諦めた。
 そんなとき。

ー」

 その口から『恋』だの『愛』だの発するような人間代表、前田慶次がまかり通る。
 の眉は急速に寄って、誰が見ても不機嫌オーラを醸し出していた。
 とばっちりはごめんとばかりに元親始めを囲んでいた4名はそそくさと席に戻り出す。
 寄ってきた慶次に無愛想に「なんだ」と答える
 それに対してにっこりと愛想のいい笑みを浮かべる慶次。

「なぁ、俺と恋しない?」




 しーーーん……。




 クラス中が静まり返った。
 ゆっくりと席を立つ音が大きく響く。
 次の瞬間、

「……このKY男がぁッ!!」

 怒声と共に一人の男が廊下に殴り飛ばされた。














+++あとがき+++
慶次の初夢♪
ツンデレ目指してみたんですがあのー、ちょっと厳しかったですはい。
殴り飛ばすのは愛情表現。たぶん、きっと。

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2008.06.14