夢話-夢小説の間-





恋の終わりと始まりと








 笑いが止まらない。
 それはない。ないない。
 誰か私の笑いを止めてくれ。いや、止めないでくれ。
 笑いが収まってしまったあとのことなんて考えられない。
 とりあえず、笑わせてくれ。

「あはははは!あは、はは……」
「……ここは、泣いてもいいんじゃないか?」

 乾いた笑いへと変わってきた私の声に堪らず、と言った感じで声をかけてくる男が一人。
 自称恋の伝道師、前田である。
 なんでこいつがここにいるんだとか、まあ置いといてやろう。恋があるところがこいつの生存区域なのだ。
 キッと身長の高い奴を睨み付ける。

「バカを言うな、泣いたらそれこそ私がバカみたいじゃないか!」

 ずっとずっと憧れだった人が、丁度教室の窓から見えて、上機嫌で見ていれば彼に駆け寄る可愛らしい人。彼は他の誰にも見せたことのないような嬉しそうな顔を作ってその子を迎えて抱き締め、口づけを落とす。真っ赤になったその子と、戯れながら帰ると言う一連の流れを見てしまったのだ。
 頭を殴られたような衝撃、というのはこのことなんだろう。
 胸を締め付けられるくらいの苦しさとはこのことなんだろう。
 いいのだ、私は彼に釣り合わない。
 それは分かっていた。
 だけど、だけどっ!

「せめて相手はセーラー服を着ていてほしかったっ」

 相手が女の子ならまだ私も立ち直れたかもしれない。
 嬉しそうに笑う彼の顔を眺めてそれで幸せになれたかもしれない。
 けど、でも、それは、黒の学ランはないんじゃない!?

「……あぁ、うん、まあなんだ。俺でよければこのあとどこでも付き合うよ」
「前田ぁあああ!お前いい奴!超いい奴!」

 だぁーっと溢れ出す涙を止めることはできなくて、結局教室で大泣きしてしまった。
 これは失恋の涙じゃない!
 前田の優しさに、私は今猛烈に感激しているだけだ!
 それだけ、それだけなんだ!!






 …――俺と新しい恋しようぜ!なぁんて、言える空気じゃないよなぁ。














+++あとがき+++
あれ、恋が始まってないwww
どうしても慶次はいい人止まりになってしまう罠。
ちなみにいちゃこらしていたのは脳内イメージ佐助と幸村です←

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2008.12.14