誘惑
「今日、うちに帰ってきなよ」
朝方帰ってきて早々でかける支度をする佐助が、そんなことをのたまった。
対する寝ぼけ全開の私は、
「へ?」
と、なんとも間抜けな返事。
どうしようかな。昨日家に帰ってないし。あんまり気が乗らないと言うか……。
ん?佐助がなんか近づいて――
「んむっ」
いきなり口を塞がれる。
え、キス、された?
たぶん、一瞬だったけれど、でも数秒に錯覚するような、熱いキス。
ふっと熱い吐息が漏れる。
「ね?」
首をかしげて問うてくる。
目には確信の光が宿っている。
でもそんなことを観察するほどの余裕が今の私にはなくて、
「帰って、きます」
呆然と、応えた。
「やった」
にっこりと笑う佐助は、本当に嬉しそうで、私はこの人に甘いんだろうな、などと言う考えがよぎる。
熱い顔と、どきどきとうるさい心臓をどうすることもできないまま、いってきます、という佐助を、いってらっしゃい、と見送った。
+++あとがき+++
お泊りしちゃった翌日な感じです★この女たらしめっw
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2008.09.07