夢話-夢小説の間-





恥ずかしい人








「佐助、あの、さぁ」
「ン?何々?」

 切れ長の目が嬉しそうに細まって、あたしを捕らえる。
 この何でも見透かしているような瞳が好きでもあり、嫌いでもある。
 でもそこに確かに優しい光を見つけて、ホッとする。

「なんでもない」
「変なー。何だよ、俺様に何でも言ってごらん?」

 にじり寄られてあっという間に佐助の腕の中に収まる。
 公衆の面前なんですが。

「いや、いいって」

 押し返そうとしたけどぎゅうっと抱き締められてそれも不可能になる。
 別にこうされるのが嫌って訳ではないんだけど、もうちょっと場所とか状況とか選べないのだろうか。

の考えてること、教えてよ。のことなら何でも知りたい」

 ――ッ!

 何でこんな恥ずかしいセリフ、言えるんだろう。というか、どこから沸いてくるんだろう。摩訶不思議で仕方がない。
 真っ赤に染まったであろう顔を隠すように、佐助の胸に頭をつける。
 そうすると少し佐助が震えて……笑われているのだと気付く。

「何デスカ」
、かぁわい」

 耳元に降ってきた低音に、あたしは黙るしかない。
 きっとさっきより顔は真っ赤だ。暑いし、熱い。
 何も、何もそんなこと耳元で囁かなくてもいいんじゃないだろうか。
 嬉しいけれど、恥ずかしいことこの上ない。
 クスクスと佐助の口から漏れる笑いが聞こえる。

「大好きだ」

 だ、か、ら!
 何で恥ずかしげもなく言うんだよ!
 何とか仕返ししてやろうと考えるのだけど、佐助の文句なんか思い付かないし、あたしも大好き、なんて切り返し、口が割けても言えない!言えるわけない!
 きっとあたしのこんな姿を見て頭上の佐助はニヤニヤしてるに違いない。

「どっかお茶行こっか?」

 少し離れた体温を寂しく感じて、でもすぐにぬくもりは手に移った。
 見上げればにこやかな笑顔を浮かべる佐助がいて、あー、何というか、小さいことでぐぢぐぢと悩んでいた自分がバカみたいだ。

「うん」

 釣られて笑う。
 この笑顔に、ずっと溺れていられたら。
 なんて考えた、相当重症な私を笑った。










+++あとがき+++
本当は学パロのつもりだったんですけど『学』の要素がどこにもない不思議w
佐助は恥ずかしいことばっかり言っていればいい←

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2008.09.21