夢話-夢小説の間-





赤い唇








 杯に口付ける唇は赤く。
 くいっと酒を煽るときの喉は細く。
 はぁ、と吐き出される吐息は艶かしい。
 ペロリと唇についた酒を舐めとる舌は唇のそれより赤い。

「狡いよねえ」

 そうやって俺様のこと揺さぶるんだから、狡い、としか言いようがない。

「佐助も飲む?」

 どうやら酒のことと勘違いされたらしい。
 杯に酒を継ぎ足しながらは笑う。
 既にほろ酔い加減の彼女からは酒特有の甘い香りがする。

「じゃあお言葉に甘えて」

 隣に座れば今注いだばかりの杯を、要は彼女が使っていたものを渡される。
 ひゅう、大胆。
 真田の旦那だったら真っ赤になって逃げ出してるんじゃないか。

「お酒好きだねえ」
「うん、私の愛人だ」

 にぃっと笑うは嬉しそうだ。……女として、それはどうなんだろうな。
 くいっと杯を煽れば、酒の味が舌に広がる。

「おぉ〜いい飲みっぷり」

 けたけた笑うを見て、ふとイイことを思い付いた。
 口に含んだ酒を飲み込まず、彼女を強引に引き寄せる。そのまま柔らかな口を奪い、酒を流し込んでやった。

「んぅっ」

 可愛い声出しちゃって。
 口の端から飲み込めなかった分の酒がこぼれ落ちる。
 口を離して、唇についた酒を、頬に伝うそれを舐めとった。
 普通に酒飲むよか数倍旨い。

「んふー、ご馳走様」

 目を見開いたまま固まっているに笑みを向けた。
と、次第に彼女の頬が赤くなっていく。

「さ、すっ、お前なにしてっ、破廉恥なっ!」

 破廉恥って、そんな旦那じゃないんだから。
 それに、そんな顔で睨んでも逆効果。誘ってるの?と、問いたくなる。
 すべすべの頬に両手を添えて覗き込む。

「旨かったろ?」

 クスリ、と笑ってやれば更に顔を赤くした。
 でも、これ以上は俺様の理性が持たないから、続きは――

「また今度、ね」

 最後に、ちゅぅっとの口を吸って退散した。
















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2008.12.14