夢話-夢小説の間-





腐女子魂








 すすす、と私は今開けたばかりの襖をしずかーに閉めた。
 いやいやいや。
 ……………いやいやいや。
 そう、戦国時代はまさに最盛期じゃないですか。私ったらうっかりさん☆
 あれがこれでそうなって、偉い人ならそりゃそうだよね!なんと言っても男のたしなみってやつだもの。
 しかも今をときめくBASARAの武田主従ですよ。そりゃもう、ねぇ、奥さん、みたいな?

「ちょ、ちょっと待っ、待って!!」

 追いかけてきたらしい佐助を振り返る。にやけてしまう腐った乙女魂を許して。

「あら、どうかいたしました?」
「そのめっちゃイイ笑顔やめて!誤解だから!」
「え?誤解?」

 尋ね返せば明らかにほっとしたようなかおになる。忍がそれでいいんだろうか。いや、いいのだ。なんたってBASARAだから。

「そう、誤解!いっやぁ、参ったねほんと」

 私はにっこりと笑みを深める。

「じゃあ普段は佐助殿が下なんですね!」

 先ほど見た衝撃は忘れもしない。佐助が幸村を押し倒すという何とも美味しいシーン!しかも生!二次元じゃなく、生!

「そうそ……えぇえ!?ちが、ちょ、勘違い!!」
「そんな照れなくてもいいじゃないですか。秘密にしておきますから」
「照れてない照れてない!」

 ふふ、顔を赤くして反論だなんて佐助かわいいなぁ。私ってばSっ気あったんだね。

「昼間からいちゃいちゃしたいだなんてもう、破廉恥ですね♪」
「待って待って待って。何でそんなに楽しそうなの」

 腐女子ですから。とはさすがに言わない。言えない。
 でも、そのカップリングは現代でも人気だもの。かくいう私も大好物ですけどなにか?

「あの真田様に意中の方がいらっしゃったと思うだけでわたくし涙で前が見えません」
「すっげぇ笑顔だろ!だから違うんだって!」
「例え誰になんと言われていようがわたくし応援してますから!」
「せめて本人の意思は聞いて!?」

 ぜぇはぁと息を切らせて全力で突っ込みを入れてくる佐助。そんな姿も色気があってイイと思う。あ、私変態だ。……………今更だ。

「では逆に聞きますが、佐助殿は真田様がお嫌いなのですか?」
「いやね、好きとか嫌いとかそういう問題じゃないでしょーが」
「体が目当てですか」
「どんな解釈すりゃそうなるの!?」
「見損ないました!」

 確かに鬼畜は好きだけど、それは愛あっての上に成立するものであって、酷い!もはや私の思考が酷いことにはなにも言うまい!

「勝手に見損なわれた!?大体旦那は男!俺様も男だろ!」
「愛に性別は関係ありません。今のは愛への冒涜ですよ」
「あんたいつから異国の宗教団体に入った!?」
「今日はお赤飯ですね〜」
「話を聞け!!」

 おめでたいなぁと思いながら彼に背を向けると思いっきり肩を捕まれた。

「俺様女の子が好きなの!」
「そんなっ!?」
「何でそんな傷ついた顔!?」
「わたくし佐助殿は真田様一筋だと信じていましたのに!!」
「何その要らない信用!?あーもー!俺様は一筋なの!!」

 ……………へ?

「佐助、殿?今……」
「う、わ、言っちゃったじゃん……あー、恥ずかしっ」
「いや、そんな、だって……」
……」
「やおいは腐女子の夢なのにっ!ドリームなのにっ!!」
「え゛」

 佐助は絶対そっち系だって信じて疑わなかったのに裏切られた!!
 せっかくあの夢のようなコラボを見れたのに、あのまま目の前でいちゃついても全然構わないのに!っていうか、むしろくっつけてやる。

「私、諦めませんよ!!」
「何を!?」
「佐助殿には真田様のお嫁さんになってもらうんですから!絶対!!」
「ぇええぇえっ!?」








「すれ違う愛じゃのう」

 私の宣言と、佐助の絶叫を聞いたお館様のお言葉でしたとさ。









+++あとがき(というなの解説?)+++
もしトリップをして、ついうっかりケンカしている武田主従を見て、たまたまその場で佐助が幸村を押し倒していたら。
……これくらいの騒ぎを起こしたいものです、いやほんと(ぇ

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2008.04.08