切ない人選手権
〜ときめけ女子!猿飛佐助編〜
幸村さん発案の紅葉狩りの最中突如として雨が降ってきた。
このやろう、折角幸村さんが発案した紅葉狩りを台無しにしやがって!!
と、雨に怒りをぶつけていたせいなんでしょうか。
「ぬお!?」
足がもつれて、思わず奇声を上げてしまった。わたしの名前をが叫んだ。
次の瞬間世界が反転。
あっはっはー。やっべー、落ちてるよわたし!
どうしようか、ここは現実逃避でもすべき?
いざ現実逃避、参る!!
なぁんてね、心の中で限りなく幸村さんの声真似してみる。
あー、こんなところで死ぬなら幸村さんに力いっぱい抱きついて置けばよかったー。
「……っ!」
あ、れ?誰かの声?
現実逃避をし始めた脳みそが現実に帰って来る。
「――!!」
耳に入ったのは、低音の声。
次いで、黒い影に攫われる。
わたし、今落下してたよね?普通に落下するのに追いつくのって大変だったりするよね。重いものでも軽いものでも結局地面につくときは一緒とか、そしたら初速度が大事ってことになってー……物理の授業とか聞いておけばよかったなーってそうじゃなくてだねぇ。
こういうことできるのは……
「……さ、すけ?」
「そ。ちょーっとばかし我慢してねー」
わたしの顔を覗き込んでにこーっと笑う佐助はいつもの佐助だ。
すごい。改めて、っていうか初めて実感した。
佐助って、ほんまもんの忍なんだ。
とんとん、と木々に難なく着地(着木?)して行く佐助。わたしの体重分で枝が折れないか激しく不安である。
ちらりと見上げれば、これまた滅多に拝めない佐助のマジ顔。オプションに雨が滴っててちょっと色っぽい。
ドキッとした。
普段おちゃらけていて、馬鹿にしか見えないけど、意外とカッコイイとこあるじゃん。
ふぁっはぁっ!!
浮気じゃない!決して浮気じゃないんだよ、真田の旦那!
「ちゃん、何さっきから百面相してるの?」
高速移動しながら佐助が尋ねてくる。
「へ?そんな変だった?」
鼓動が早い心臓を悟られないようにいつもの態度で聞き返す。
てか、走りながらわたしの顔まで見てるなんてどんだけ器用なんだこいつ。
「うん、可愛かった」
「そのニヤニヤした笑いしてなけりゃ信じてあげてもいいのにね、ケッ」
「はは、ちゃんと話してると楽しいんだけど……もうちょっと速度上げるから舌噛まないようお口閉じてて?」
「はーい」
まだスピード上がるんかい。
わたしは呆れながらも佐助の腕の中から彼を見上げる。
やっぱり、今の佐助はカッコイイ。
うぅん、が惚れるのも分かるわ。って、ギャップ萌えに弱いし……。
だからと言ってわたしが今こいつに惚れたわけじゃないから!って、誰に向かって弁解してるんだ。
あーもー、調子狂う!早く二人のとこ着かないかなー。
とか思ってる内にもう着くし!
佐助のおかげでわたし全然濡れてないし!
くっそぅ、優秀なやつめ。
「ありがと佐助」
「どーいたしまして♪」
にっと笑うのはいつもの顔なのにかっこよく感じてしまうのは滴る雨のせいってことにしておこう。
「〜!ゆっきむらさ〜ん!」
小屋の戸を開け放ってわたしは中へと入った。
(コロコロ表情変わってほんと可愛いなぁ。どうせ考えてること真田の旦那のことなんだろうけど……………はぁ)
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2008.03.24