夢話-夢小説の間-





らぶりーまいだーりん

〜OSが再インストールされました〜




 放課後あたしの机の回りに猿飛と伊達、真田が集う。ちなみにツンデレ毛利はさっさと帰った。今日を以てツンツン毛利に改名してやる。

「んで?何悩んでんだ?」

 どうせ長曽我部のことだろうが、と口火を切ったのは伊達。

「鬼の旦那、今にも死にそうな顔してたけどね」
「え、会ったの?」
「昼休みにお館様に呼び出しされてたでござるよ。体育の授業中に気合いを抜くからでござる」

 気合いを抜くってどんなだ。
 突っ込みたいけど激しく内容が逸れそうだったからやめた。
 それで昼休みにいなかったのか、元親。

「昨日、元親の家、行ったんだよ」
「んなっ、は、破廉恥むぐぅっ」
「はい、旦那は黙っててねー」

 ナイスだ猿飛。真田に破廉恥叫ばれたら話が進まん。

「で、あのピンクとフリルのcollaborationの感想は?」

 ちなみに元親の部屋の内装知ってたやつは?と聞けば全員知っていたようだ。
 ……正直よく友達やってられるなと感心した。

「まあ、普通に驚いたよね」

 あれを見てフリーズしない人がいるならば是非お会いしてみたいものだ。あ、毛利辺りなら平気かも。でもあいつ元親の幼馴染みだからな。引かないで鼻で笑うなきっと。

「相談の内容はそこじゃなくてさ、あたしなんだよ」
「Hahn?何だ、言ってみろよ」

 伊達に促されてあたしは言葉を考える。
 ……うぅ、何て言えばいいんだろう。ああでもないこうでもないと考える内に顔が熱くなってくる。
 うーん、とりあえず一般常識だとあれってどうなるんだ?

「あの、さ……元親が頬染めて目線を伏せる仕草を想像して率直な感想を述べてもらいたい」

 キョトンとした顔をするやつらにいいから想像しろと考えさせる。
 僅かな間が空いて、

「……No、ねぇな気色悪ぃ」
「俺様ギブ、無理」
「気持ち悪いでござる……」

 三者三様拒絶反応が返ってきた。
 そうだよね。普通はその感想が当たり前なんだよね。

「それがどうかしたのか?」
「……………ったんだ」
殿?今なんと?」

 くっ、これはもう腹をくくるしかない。

「っ可愛かったの!すんごい可愛くて可愛くて可愛く可愛かったんだ!そりゃもうキュン死にできそうなくらい!!」

 絶対にあの瞬間、あたしの中の何かが再インストールされたに決まってる!!でも思い出すとトキメクの!仕方ないの!そういう仕様に変わっちゃったんだってば!
 力説すれば、しーん、という効果音が聞こえた気がした。
 状況が状況なだけに、三人とも固まっている。それでもいち早く復活したのは猿飛だった。

「えっと、ちゃん?可愛かったって……………何が?」

 恐る恐るという表現がぴったりな具合に尋ねてくる。
 もちろん、あたしが返す答えは一つしかない。

「元親が」

 答えれば、再び沈黙さんこんにちは。
 夕日の照らす教室に、女一人と男三人固まっていて、飾られた時計だけが時を刻む。外で練習している野球部の声が教室まで届き、音楽室で練習しているはずの吹奏楽部の演奏が聞こえた。

「……救急車、だな」

 どこか遠い目の伊達。

「ここらで精神科のある病院はどこにあったでござろう。いや眼科?眼科でござるか?」

 すんげぇ失礼な、でも顔はマジの真田。

「とりあえず119番押しとく?」

 携帯開いて今にも119へコールかけそうな猿飛。

「やっぱりあたし病気!?」
「あいつが可愛いって……ねぇよ」
「だって可愛かったんだって!ピンクの部屋と相まってあたしのこと伏し目がちに見てる元親はそのまま襲ってくださいと言ってた、確実に!!唇奪って押し倒しそうになっ」
「ぎゃああっ!ちゃんストップ、ストーップッ!!」
「破廉恥であるぞぉぉぉっっ!?」
「やっぱりぃぃっ!真田の旦那ぁ!」

 机を弾き飛ばしながら(あとで誰が直すと思ってんだ、こら)教室をダッシュで逃げ出していく真田と、真田の荷物まで手に持って後を追いかける猿飛。
 もう帰ってこないな、きっと。
 そして三度やってくる沈黙さん。
 結局は伊達とあたしと二人きりになった。色男と二人っきりという他の女子高生ならうはうはかも知れないシチュエーションだが、残念ながらうはうはする場面ではない。
 沈黙さん、あなたの存在が痛いです。

「……したのか」

 空が段々と橙から藍へ変わっていくのを見ながらポツリと聞いてくる伊達。

「……さすがにどうかと思って元親を置き去りにダッシュで逃げた」
「Ha!通りでな」
「……………何が?」
「あの野郎、フラれたと勘違いしてるぜ?」
「……マジでか」

 ま、まあそう思われても致し方のない態度だったと思う。今さらだけども。

「……した方がよかった?」
「……女が野郎を押し倒すっても、どうだろうな」

 ですよね。
 もしこれがゲームとかだったらセーブポイントまで戻ってやり直したいよ。なんで現実にはCtrl+Zが使えないんだろう。使えたら現実ではないんだろうけど。
 ……戻れてもきっと同じ行動に出そうだな。

「どうしよ……」
「どうしてぇんだ?」

 伊達の質問はもっともだ。若干投げ槍な態度はこの際無視してやろう。
 あたしはどうしたいんだろう。確かにあの部屋はどうかと思う。が、やはり元親のことは好きだ。

「別れたくは、ない」
「ならば何の問題もない」

 その声は毛利!?
 帰ったんじゃなかったのかと入り口を見れば……え?
 あたしは瞬きして目を擦る。そこにいたのは紛れもなく、元親。毛利が連れてきて、くれた、の?やっぱり毛利はツンデレだよ!ツンツンは撤回するよ!……じゃなくって!!

「元…ち、か?どどどどどこから聞いてた!?」
「その、始めから、よ」

 始めからって、始めからって、もしかして、全部?もしかしなくても、全部聞かれてた?頬染めて〜から押し倒したいっつって純情ピュアボーイとエロテロリストが退場するまで全部!?
 赤くなったり青くなったりしてるあたしをその場に残し、ニヤニヤ笑う魅惑の腰と元親を教室に押し込んだ必殺ツンデレはさっさと退場している。
 ハッ!?もしや仕組まれた!?
 というか沈黙さんまたやって来たの!?あああああ、何か言わないと!何か、誰かライフカードっ!!

――」
「あ、ああの、さ」

 うっわ、被った。
 が、気にしないでおく。つか気にする余裕はない。

「確かに、その、部屋見て引いたし、えーと、逃げたけど、ね。さっき言ってたことはみんなほんとでー……別れたりとかは、したくないよ?元親のこと好きだから、さ」

 一気に捲し立てて元親の様子を見る。と、あ、れ?デジャヴ?

「元親、押し倒していい?」
「はぁ!?なななっ」

 赤面して狼狽えてる元親。例え見た目がヤンキーだろうと、例えタッパが170越えてる男だろうと、知ったこっちゃない。

 かっ、可愛い。

 ちょ、鼻血でそうなんですけどっ。
 ゴホンと元親がわざとらしい咳払いをする。



 呼ばれてあたしは元親を見上げる。
 見下ろしてくる元親の顔は凛々しいし、かっこいい。

「さっきの話だがな」
「……さっきの話と言うと押し倒す云々の話でしょうか」

 あたしの問いに元親はニィッと口の端を上げる。
 ふっと視界から元親の顔が消えた。

「押し倒すのは、この俺だ」
「っ!?」

 耳ッ!耳近ッ!!って言うか息が!吐息が!!

「帰ぇるぞ」

 ポンとあたしの頭に手を置いてさっさと歩き出す元親の耳は後ろから見ても赤い。
 ああ、やっぱり可愛いっ。
 再インストールされたプログラム間違えてたって構いやしないわ!
 あたしは後ろから元親にタックルをかました。

「おいっ!」
「えへへ〜、ご飯一緒に食べて帰ろ♪」
「……おう」

 ま、めでたしめでたしってね。
 次の日学校に行ったら真田が散らかした机が元に戻っていた。妖精さんの仕業だろうか。たぶん事務員か職員だろう。













 ☆オマケ☆

「……何故我が机を元に戻さねばならぬ」
「shit!そりゃこっちのセリフだぜ」

 机を直してくれたのは必殺ツンデレと魅惑の腰でしたw








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2008.02.24