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夢話-夢小説の間-





出勤前の要求






『ピーピーピー、6時半です。おはようございます』

 音声目覚ましと共に目を覚ます。起き上がれば目の前に光るものがあった。
 一瞬思考が止まる。
 光るものから焦点を後ろにやれば、鬼の形相の抜刀男がいた。朝一から心臓に悪い。
 はぁ、とため息をついてピーピーうるさい携帯のアラームを止める。

「昨日言いませんでしたっけ、私の生活邪魔すんなって」
「奇妙な音を発する貴様が悪い」

 言いながら彼は刀を鞘に納めた。
 どういう発想だ。再度ため息。

「おはよう。すまないね、止める間もなく抜刀するもんだから」

 これが音を発するのは2度体験済みでしょう、学習できないというか応用が利かないというか。
 いや、朝という時間のない合間にこんなのに構っている暇などないのだ。

「おはようございます」

 とりあえず挨拶だけして立ち上がった。ソファから、オハヨウと返ってきてほんのり癒された。
 テレビをつけて時間を確認。テレビにうろたえる異世界人は放置。
 クローゼットから洋服を取りだし、洗濯機の前で着替えつつ洗濯機を回す。
 洗濯、たぶん今の時間なら間に合う。お急ぎモードならイケる。
 朝ごはんはポタージュとカロリーメイト。
 会社の携帯の電源を渋々投入し、着信履歴にため息。夜中に馬鹿みたいに掛けやがってあの狸。
 ニュースを見ながら留守電をチェック。
 曰く、電話に出ろ、充電切らすなんて社会人の恥、云々、ただの言いがかりのみ。

「大した用でもねーのに電話かけんなクソが」

 暴言と共に留守電を消去。
 ぎょっとした視線が飛んできたけど無視。
 そのうちに洗濯機が完了を知らせてくるので、ちゃっちゃと干す。7時半、おし。

「あと少ししたら出ますが、衣類以外に何かありますか、質問とか欲しいもの」

 聞けば、テレビとポットの説明を求められて答える。
 ドラマ見てこっちの生活等々覚えておけば外に出てもいいんじゃないだろうか。
 朝ドラ…にはまだ少し早いか。まぁテレビつけっぱにしておこう。

「あと、こちらの文字を学びたいんだけど、何とかなるかい?」

 難しい注文してきたなおい。

「んー、何があったら学べます?そっちの世界の言語体系がよくわからないんですが」
「言葉は通じているゆえ、書物でもあればよかろ」
「……簡単な童謡でも見繕っておきましょう。
 あと、読めるようになったら読み聞かせお願いします」

 私天才。ものすっごい笑顔になった。どれくらいっていうと、笑顔を向けられた包帯の人が引くぐらい。
 その見た目をしておきながら人の奇行に引くとか酷い。

「、あいわかった、包帯も用意できやるか」
「ああ、まぁ巻きっぱなわけないですもんね、了解です」

 今日は車で行くか。24時間スーパー寄って帰ればいいだろう。
 一着ずつと包帯と童謡、あと書き取りできるようノートとペンのセット。
 そのあとは通販でいいな、受け取りの仕方覚えさせれば大丈夫だろう。

「じゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
「気を付けていってきやれ」
「……」

 口々に声と目線を投げられた。
 おう、これが妻子待つ家庭ってやつか。
 なんか違う気がするけど、まぁいい、大体そんな感じだ。
 あまり活用されない自前の軽自動車に乗り込み、エンジンをかけた。








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2014.04.17